【連載コラム】SATOKOのフランス生活日記~3月 Naissance 誕生~

6年前の3月、パリの14区にある病院で息子は誕生しました。初めての、そして海外での出産は驚きの連続でした。

妊娠がわかって、職場の上司に報告する際、入社間もなかった私はドキドキしながら職場に向かったこと、そしてその時の想像もしていなかった上司の対応を今でも鮮明に覚えています。彼女は一言、C’est génial! 《わあ、よかったねー》と。続けて、《すごく嬉しい、産休明けに戻ってくるのを待ってるね》、と満面の笑顔で言ってくれました。同僚達も同じように喜んでくれ、重いものを持ってくれたり、袋いっぱいのおさがりのお洋服を持ってきてくれたり、私の好きなお菓子に、何かできることがあったら言ってね、とメッセージが添えてあったりと、みんなで祝福してくれました。電車の中や街で会う知らない人も皆、妊婦さんには率先して親切にしている光景を何度も目にしました。

妊娠がわかるとかかりつけの婦人科医に診てもらいますが、フランスではその後の血液検査やエコーなどはそれぞれ独立した医療機関に自分で1つずつ予約を取って行き、その結果を産婦人科医に持参する必要があります。エコーは3回のみでしたが、毎回時間をかけてみてくれるので楽しみな時間でした。医療のシステムで日本とは異なる点は色々ありましたが、予防接種の際、ワクチンを自分で薬局で購入し、かかりつけ医に打ってもらう日まで自宅の冷蔵庫で保管するのには一番驚きました。

妊娠期間中には、低温殺菌されていないチーズ、生ハム、パテ、生野菜を避けるように言われましたが、あとは体重管理も特にないので、異国の地での出産ということに不安はありましたが、周りの人に支えられ、問題のない妊娠生活を送ることができました。

フランスでは約8割の女性が無痛分娩を選択しています。私の担当医も妊婦検診の際に当たり前のように麻酔医との面談を設定してくれ、当日も病院到着後すぐ麻酔医が現れ、麻酔を打ってくれました。麻酔が効いてきた頃、出産の準備をしていた助産師さんに、子供の名前は何?と聞かれた時には、まだ生まれていないのに、え!もう言うの?と思いましたが、フランスでは出産後2日以内に出生届を提出するので、産まれる前に子供の名前が正式に決まっているのは普通なようです。

そして誕生の時。自分よりも何歳も若そうな助産師さんの完璧な仕事のおかげで息子はこの世に生まれました。C’est un très beau bébé, félicitations! 《とても立派な赤ちゃんよ、ほんとにおめでとう》と私の側に来て目をみて心から言ってくれた彼女に、私はただただ尊敬の気持ちでいっぱいでした。フランスでは助産師さんの事をSage-femmeといいます。直訳すると《賢い女性》。素敵な言葉だな、と思います。

フランスでは里帰り出産は珍しいこと、赤ちゃんの頃から自分の部屋で1人で寝ること、専門家に産後10回ほど体を診てもらう産後ケアは保険が効く事など、国が変われば習慣も異なる事を改めて感じたパリでの妊娠生活と出産は、私にとっての貴重な経験となりました。

【今月のフランス語】
出産にまつわる言葉の数々♫

Sage-femme(サージュ ファーム)= 助産師
Nouveau né (ヌーボー ネ) = 新生児
Félicitations (フェリシタション)= おめでとう
Bébé (べべ)= 赤ちゃん

<ライタープロフィール>

SATOKO

8年のフランス滞在の経験を生かし、通訳、フランス語レッスンなどの活動中。

本場のフランス菓子&料理のレシピをフランス語で読みたい、ホームステイ先で使える会話、簡単な旅行会話、おすすめ観光場所情報(マルシェ、雑貨屋、地方都市)などご希望に沿ったオリジナルなレッスンを作成します。お一人でも、お友達、旅行仲間と一緒でも♡ satoko39@yahoo.com

私の好きなフランスをこちらから発信 https://www.instagram.com/lily.mimosa/?hl=ja

プライベートでは未就園児を持つママのお茶会 « SUNFLOWERS »をベイタウンで主宰。          https://www.facebook.com/sunflowersjapan